ひと昔前まで、「睡眠=ただの休憩」であると考えられていました。1950年代のレム睡眠の発見をきっかけに睡眠が単なる休息ではなく、“体と脳を整える時間”であることが分かってきました。睡眠の歴史・研究の転換点・睡眠の役割・睡眠不足のリスクを、やさしい言葉で整理します。

睡眠研究はいつ、どのように始まったか?

1800〜1900年代半ばまでは、睡眠は計測して数値化するなどの実験がやりにくく、信頼性・客観性・再現性の高い方法論を確立できずにいました。


1929年の脳波の発見により、睡眠研究は大きく前進。
1950年代にはレム睡眠が発見され、それまで「単なる休息や眠気の解放」と考えられていた睡眠が、1960年代より睡眠が単なる休息や眠気の解放だけではなく、記憶の整理・定着、自律神経やホルモンバランスの調整や免疫機能の増強、脳の老廃物の除去などの重要な役割をはたすことが次第に明らかになっていきました。

眠りは”受動”ではなく”能動”ってどういうこと?

かつて、睡眠は受動的なもので、部屋が静かで暗ければ人は勝手に眠ると考えられていました。
ところが動物実験で「感覚遮断」という部屋が暗く・音のない状態でも動物は眠ることはありませんでした。


一方で、脳の特定の部位の活動を止めると寝たような状態になることがわかりました。
つまり、睡眠は脳の自発的な行動であり、覚醒と睡眠を脳が能動的に切り替えることによって睡眠が引き起こされるのです。

眠っている間、体と脳では何が起きている?

眠っている間に進む”整備”は、翌日のパフォーマンスの土台になります。

・記憶の整理・定着:日中に学んだ情報を整理して必要な記憶を残す
・自律神経の調整:交感神経と副交感神経のバランスを戻す
・ホルモンバランスの調整:回復や代謝に関わる分泌を整える
・免疫機能の増強:体の”守り”を支える
・脳の老廃物の除去:不要物質を流しやすくする

睡眠不足が続くと、どんなリスクがある?

集中力・判断力・反応の低下など、日中のパフォーマンスに直結します。さらに、肥満・糖尿病・高血圧などの生活習慣病のリスク、こころの不調や感染症の悪化など、健康全体への影響が大きくなります。

平安時代から続く、睡眠の悩み!?

睡眠研究が進む前の時代でも、人々は睡眠や過眠の悩みを抱えていました。日本の睡眠障害についての記載は1,000年以上前、平安時代の文献「病草紙」という絵巻物の中に「不眠症の女」と眠りすぎてしまう「嗜眠癖の男」が登場します。
1,000年以上前から睡眠障害は病とされていました。