
「特に大きな病気があるわけではないのに、なんとなく調子が悪そうな社員が多い」
「健康診断の結果は問題ないのに、日中の集中力や活気が落ちている」
——経営者や人事担当者の方から、こうした声を伺うことが増えています。
本人に体調を尋ねても「大丈夫です」としか返ってこず、対策の打ちようがない。
この「原因がはっきりしない不調」の背景には、多くの場合「自律神経」の乱れが関わっています。
本記事では、自律神経の仕組みから、それが乱れる組織的な要因、そして企業として取り組むべきアプローチまでを解説します。
目次
- 「原因不明の不調」の正体――自律神経とは何か
- なぜ従業員の自律神経は乱れるのか――6つの要因を経営目線で読み解く
- 回復のカギは「夜」にある――個人の工夫だけでは限界がある理由
- 組織として自律神経を整えるという選択肢
1. 「原因不明の不調」の正体――自律神経とは何か
自律神経とは、内臓の動きや体温調節などを担い、24時間365日休むことなく働き続けている神経系です。
本人の意識や意志とは関係なく働くことから、いわば「無意識の司令塔」と呼べる存在です。
自律神経には、活動時に働く交感神経(アクセルの役割)と、休息時に働く副交感神経(ブレーキの役割)の2種類があります。
この2つは常にどちらかが完全に優位というわけではなく、シーソーのようにわずか約30%程度どちらかが優位になることでバランスを保っています。
健康的な状態では、朝から昼にかけて交感神経が優位になり活動モードが立ち上がり、夕方にピークを迎えたあと、夜にかけて徐々に副交感神経へとスイッチが切り替わっていきます。
そして就寝中は副交感神経が優位な「完全回復モード」に入り、日中に消耗した心身を修復します。
このリズムが崩れると、日中なのに眠気やだるさが抜けず気力が湧かない一方で、夜になっても目が冴えて緊張が取れないという、本来とは逆転した状態に陥ります。
脳と身体が十分に休まらないまま翌日を迎えることになり、疲労が少しずつ蓄積していきます。従業員から見える「なんとなく調子が悪い」という状態は、この自律神経のリズムの乱れが表面化したものであるケースが少なくありません。
2. なぜ従業員の自律神経は乱れるのか――6つの要因を経営目線で読み解く
自律神経が乱れる主な要因としては、精神的ストレス、肉体疲労、生活習慣の乱れ、心身の疾患、ホルモンの乱れ、加齢の6つが挙げられます。
これらを従業員の働き方に照らし合わせてみると、多くが職場環境と無関係ではないことが見えてきます。
精神的ストレスは、業務のプレッシャーや職場の人間関係から生じる心の負担です。
肉体疲労は、長時間労働や慢性的な人手不足によるオーバーワークの蓄積として表れます。
そして生活習慣の乱れは、不規則な勤務時間や偏った食事、運動不足といった、働き方そのものに起因する日々のリズムの崩れです。
心身の疾患やホルモンの乱れ、加齢は個人差の大きい要因ですが、そこに職場由来のストレスや疲労が重なることで、不調として顕在化しやすくなります。
自律神経の乱れは、単なる「疲れ」で済まされるものではなく、神経性胃炎や過敏性腸症候群といった消化器系の不調、過換気症候群(過呼吸)などの呼吸器系の症状、さらには倦怠感や頭痛といった慢性的な全身症状として現れることがあります。
こうした不調を抱えたまま出勤している状態は、いわゆるプレゼンティズムそのものであり、欠勤という目に見える形では現れにくい分、見過ごされがちです。
つまり、従業員の自律神経の乱れは、個人の体質や気の持ちようだけの問題ではなく、労働時間や休息の取りやすさといった組織的な要因が積み重なった結果でもあるのです。
だからこそ、個人の自己管理に委ねるだけでなく、組織として休息のあり方に目を向けることが求められます。

3. 回復のカギは「夜」にある――個人の工夫だけでは限界がある理由
自律神経の乱れを整えるうえで重要なのは、夜にしっかりと副交感神経を優位にすることです。
日中に興奮していた交感神経が夜になっても鎮まらないままだと、脳の疲れは十分に取れません。意識的にリラックスモードへ切り替えることで、はじめて身体の修復作業が始まります。
軽いストレッチで筋肉の緊張をほぐし血流を改善すること、深くゆっくり吐く腹式呼吸でリラックススイッチを入れること、
首や目もとといった太い血管の通る部位を温めて全身の緊張を和らげることなど、個人でその日から始められる整え方は存在します。
ただし、これらはあくまで「本人が実践しようと思えばできる」個人単位の工夫にとどまります。
慢性的な長時間労働や、退社後もメールが気になって気が休まらないといった職場の状況そのものが変わらない限り、個人がどれだけ意識してリラックスを心がけても、夜になっても交感神経が下がりきらない状態は繰り返されてしまいます。
自律神経のリズムを取り戻すには、個人の努力だけでなく、そもそも心身が休まりやすい働き方や環境を組織として整えていくという視点が欠かせません。
4. 組織として自律神経を整えるという選択肢
とはいえ、「自律神経を整える組織づくり」と言われても、何から手をつければよいのか、具体的な道筋を描くのは容易ではありません。従業員一人ひとりの生活習慣やストレスの背景は異なり、画一的な施策だけでは効果が限定的になりやすいためです。
3eep planning(スリーププランニング)では、こうした複雑さに専門的に向き合うため、「3eep Approach」という一連のプロセスをご用意しています。
まず組織や従業員の睡眠の状態などを現状把握したうえで、実際の働き方に即した実践支援を行い、その後の変化を効果測定によって確認する。こ
の一連の流れを通じて、勘や精神論に頼らず、根拠に基づいた形で組織の休息のあり方を見直していくお手伝いをしています。
従業員の「なんとなくの不調」を放置せず、組織としての経営課題として捉え直すこと。そこから、健康経営の新しい一歩が始まります。
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