「朝の会議で、どうも頭が回っていない社員が多い」
「早朝便の出張の翌日、チーム全体の動きが鈍い」
「睡眠セミナーを開いたが、その後の変化が見えない」

健康経営に取り組む企業の人事・経営者の方から、こうした声をよく伺います。従業員の睡眠を改善したいと考えたとき、多くの企業は「早く寝ましょう」「睡眠時間を確保しましょう」と呼びかけます。しかし実は、睡眠には「早く寝ようとしても、寝られない時間帯がある」という性質があり、呼びかけだけでは成果につながりにくいのです。

本記事では、睡眠科学の知見から「入眠前の行動」が翌日のパフォーマンスにどう影響するかを整理し、それが個人の問題ではなく組織の働き方の問題でもある理由を解説します。最後に、3eep planningが法人向けに提供している睡眠改善のアプローチをご紹介します。

目次
  1. 見えにくいコスト──「出勤しているのに力が出ない」状態
  2. 翌朝の生産性は「寝る前の行動」で変わる
     2-1. 脳を"モノトナス"にする入眠前ルーティン
     2-2. 就寝前の約2時間は「睡眠禁止ゾーン」
     2-3. 入浴のタイミングと深部体温
  3. 睡眠を妨げているのは、個人の生活習慣だけではない
  4. 3eep planningが支える、組織としての睡眠改善
  5. まとめ

1. 見えにくいコスト──「出勤しているのに力が出ない」状態

従業員の健康課題が経営に与える影響のうち、最も見落とされやすいのがプレゼンティズムです。欠勤や休職のように数字に表れにくいため、気づかないうちに組織全体のパフォーマンスを押し下げています。

たとえば、朝の会議で意見が出にくい、確認ミスが増える、ちょっとしたことで職場の空気がぎくしゃくする。こうした日々の小さな「もったいない状態」の背景に、睡眠の不足や質の低下が隠れていることは少なくありません。

睡眠は、集中力・判断力・感情のコントロールに直接影響します。つまり睡眠は、「福利厚生の話」ではなく、生産性と人材定着に関わる経営テーマだといえます。

2. 翌朝の生産性は「寝る前の行動」で変わる

2-1. 脳を"モノトナス"にする入眠前ルーティン

結論からいえば、スムーズな入眠には寝る前の行動を"いつも同じ"にすることが効果的です。

入眠前の脳は、余計な刺激を受けず、できるだけモノトナスな状態にあるほうが、自然に眠りへ移行しやすくなります。そのため、入浴時間・就寝時刻・寝具・服装・照明・室温・音などを毎日同じように整える「入眠儀式」や「ナイトルーティン」が推奨されています。

裏を返せば、寝る直前まで仕事のチャットやメールに反応している状態は、脳に刺激を与え続けていることになります。夜間の業務連絡が常態化している職場では、従業員がルーティンを守りたくても守れない状況が生まれているかもしれません。

2-2. 就寝前の約2時間は「睡眠禁止ゾーン」

「明日は早朝出発だから、いつもより早く寝よう」——こう考えて布団に入ったものの、なかなか寝つけなかった経験はないでしょうか。

これには科学的な理由があります。眠気の強さは1日の中で波を描いており、普段の就寝時刻の約2時間前は、かえって最も眠りにくい時間帯であることがわかっています。この時間帯は「睡眠禁止ゾーン」と呼ばれています。

さらに睡眠には、後ろにずらすのは簡単だが、前にずらすのは難しいという性質があります。そのため、翌朝が早い場合でも「無理に1時間早く寝る」より、「いつも通りの時刻に寝て、睡眠時間を1時間削る」ほうが、結果的に睡眠の質を保ちやすいとされています。

この知見は、早朝の会議設定や出張スケジュールの組み方を考えるうえで、組織にとっても重要なヒントになります。起床時刻が日によって大きく変わる働き方は、睡眠規則性を乱し、パフォーマンスの安定を損ないやすいからです。

2-3. 入浴のタイミングと深部体温

人は、深部体温が下がるときに眠りやすくなります。そして深部体温には、「大きく上がると、その分大きく下がろうとする」性質があります。

40℃のお風呂に15分浸かると深部体温は約0.5℃上がり、それが元に戻るまでには90分以上かかるとされています。そのため、睡眠に効果的な入浴法は「就寝の約90分前に、38〜40℃のお湯に15分ほど浸かる」ことです。

一方、就寝直前の入浴は体温が下がりきらず、かえって眠りにくくなることがあります。帰宅が遅く時間がとれない日は、シャワーで済ませる、あるいは足湯で足からの熱放散を促すといった工夫が有効です。

ここで考えたいのは、「就寝90分前に入浴できる生活」を、従業員の働き方が許しているかという点です。残業で帰宅が遅くなれば、入浴・食事・就寝の間隔は詰まり、どれほど知識があっても理想的な行動はとれません。

3. 睡眠を妨げているのは、個人の生活習慣だけではない

ここまでの知見を整理すると、良い睡眠の鍵は「毎日同じリズムで、刺激の少ない夜を過ごすこと」にあります。そしてそのリズムを崩しているのは、個人の意志の弱さではなく、次のような働き方の構造であることが少なくありません。

  • 夜間・休日の業務連絡(脳がモノトナスな状態になれない)
  • 不規則な早朝会議や出張(睡眠禁止ゾーンでの無理な就寝、起床時刻のばらつき)
  • 慢性的な残業(入浴から就寝までの時間を確保できない)

つまり、従業員向けに睡眠の知識を伝えるだけでは十分ではありません。知識を「実践できる環境」を組織として整えること——これがセットになって、はじめて睡眠改善は成果につながります。だからこそ、従業員の睡眠改善は人事・経営層が旗を振るべきテーマなのです。

4. 3eep planningが支える、組織としての睡眠改善

とはいえ、「どこから手をつければよいかわからない」というのが多くの企業の本音ではないでしょうか。睡眠は個人差が大きく、職種や勤務形態によって課題も異なります。一律の施策を打っても響かない、効果をどう測ればよいかわからない——こうした難しさが、睡眠改善を"やりっぱなし"にしてしまう要因です。

3eep planning(スリーププランニング)では、睡眠科学にもとづく独自の「3eep Approach」で、企業の睡眠改善を一貫して支援しています。

  • 現状把握:従業員の睡眠の実態と、働き方との関係を丁寧に可視化します
  • 実践支援:本記事でご紹介したような入眠前の行動など、科学的根拠のある知識を、従業員が「明日から実践できる形」でお届けします。あわせて、組織として見直せるポイントも整理します
  • 効果測定:取り組み前後の変化を確認し、次の打ち手につなげます

スリーププランナーの資格を持つ専門家が、セミナーの開催にとどまらず、組織に合わせたプログラムを設計します。自社の状況に合った進め方は、ぜひお気軽にご相談ください。

5. まとめ

従業員の翌日のパフォーマンスは、前夜の「寝る前の過ごし方」と深く結びついています。脳を落ち着かせるナイトルーティン、就寝前2時間の睡眠禁止ゾーン、就寝90分前の入浴——いずれもシンプルな知見ですが、それを実践できるかどうかは、夜間連絡や残業、会議・出張の組み方といった組織の働き方に左右されます。

「早く寝ましょう」という呼びかけから一歩進んで、従業員が自然と良い睡眠をとれる職場づくりに取り組んでみませんか。それは、プレゼンティズムの解消や人材の定着という形で、確かに組織へ還元されていきます。

【組織の責任者・ご担当者様へ】
従業員や組織メンバーの「睡眠負債」は、見えない業績低下やメンタル不調の最大の原因です。弊社では、丁寧な現状把握と独自の「3eep Approach」を用いた、法人・組織向け睡眠改善プログラムのご相談を承っております。

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